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 毎日が突然スキップしてしまうように高速で過ぎて行って、否応なくそれに突き向かわせられて、ぐったりと疲れて痛くてギリギリと残っているものがあるというのに、何も起きていない昨日と同じように、外は晴れて暑い変わらない夏。
 僕だけじゃないって、わかってる。みんなみんな同じで、死にたくなくて、守りたいものがあってそこに。死なせたくないものがあって、ただしそれは直感的で曖昧な形をしている。
 そっと掘り出すように、或いはこっそり隠すように、優しくそれを扱うにはあまりにも時間が足りない。こういった問題には本来何よりも時間が必要で、足りなければそれだけ誤った道に進んでしまう確率が上がる。とても単純。
 時間を奪うものは何?
 始まりを掴まえたのに、辿ることができない。呼ばないで、惑わさないで、僕に触れないでいて。
 隠し切れなかった僕の叫び声を、心地いい唄かのように聴いた君は、全部の複雑をすり抜けて赤い瞳を僕に向ける。
 それはつまり傍にいてということ?
 君が隣にいる間、ほんの少しは道を辿ることができただろうか。それともまた、飛び越えてしまっただろうか。
 飛び越えた部分は取り戻せない。空白は空白のまま抱えて、埋めていかなければならない。正しくないかもしれないもので。君ではないもので。
 たとえ僕が僕で、君が君で、彼女たちも彼らも、この現実と何ら変わらないものだったとしても、もう少しだけゆっくりとこの夏を過ごすことができたなら、僕は君をもっと違う形で抱きしめることができただろうか。
 偽物の手のひらではなくて、本物の、全身で君を。
 手に入れることができた時が運んでくるものが同じ未来でも、その過程が変わったら、空白を埋めるものは正しさに近づきはしないだろうか。
 点在する跳躍点に足をとられ、本物かどうかわからない答えに追われる。
 走りながら君の最期の笑顔を想う。
 抱きしめて、抱き合って、君の歌声を僕の耳元で聞かせて欲しかった。
 そうするだけの時間が、与えられて欲しかった。
 このブランクに微かでも、君の声が響いて欲しかった。
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